恋色語

本当のことだ。間違いない。例え信じなくても、確信できる。


「中村ありがと。もう切るね」


だって3階から見えるから。傘すら持ってなくて、びしょ濡れになりながら下校する…




片桐の姿が。




携帯をしまって思わず駆け出す。行かなくちゃ…行か…。待って。


「…行って…どうするの?」


2、3歩で止まってしまった。

そうよ。行って何か話すの?それで私達の仲は回復するの?

私はもう…片桐に近づいたらダメなんだよ?


「行け…ないよね」


私はあいつを嫌いになった。あいつも私が嫌いだ。なのに会う理由(わけ)があるの?

こんな…傘程度で会う必要あるの?また何か酷いこと言われるかもしれないんだよ?

きっと笑えないよ?嫌な事しかないよ?怖くって…もう会わないって決めたんだよ?

利益もないし、言葉なんて…出てこないんだよ?





『そこまでして…会いたいの?』






「私は…」