恋色語

外は本降りか。走っても濡れてしまうようなザーザー降り。

ここで貸しを作っておいて、利子つけて返させるつも…正直に今は中村に感謝しとくか。

…顔みたらお礼なんて言えなくなるから今言っとこ。確か携帯に部員全員のアドレスと番号は交換したはず。


「…あ、もしもし中村?傘ありがとねー」

「旭か。それな、新聞部内でついた嘘。その傘本当は片桐のなんだ」


嘘だ。どうして片桐が私に?あんなに突き放して…ありえない。


「あはは、そういう冗談やめてってば」

「冗談じゃねーの。俺伝いで旭に渡してくれって頼まれたの。

もし部室前にいるなら、そこ3階だし雨ヤバいって分かるだろ?感謝しとけよ」


嘘だ。嘘だ嘘だ。片桐が私を嫌ってて、私も関わらないって決めたのに。


「本当なの?…そういえば片桐って今日の朝傘もってた?」

「だから本当なの。片桐は今日傘持ってきてた。俺も関わるなって言ったけど、あいつも頑固で」