恋色語

「ん、まだいたの?」


あ、さっき本との衝突事故を防いでくれた人だ。


「まだ…ていうと?」

「もうじき5時だよ。イコール、ここの閉鎖時間」


閉鎖時間10分前だ…。知らなかった。周り私1人しかいないじゃんか。


「また明日くるといいよ」

「いえ、もう大方はつきましたから私帰ります。あなたも早く出た方がいいですよ」

「僕図書委員で今日担当日なんだ」


証拠の鍵をくるくる回して。もしかして私待ちだった?


「あああすいません」

「誰もいなくても5時きっかりに閉めるきまりだから、焦らない」

「それもそうですね。それじゃ失礼します」



図書室を出て…部室にいくか。まあ今日は活動の予定はなくてミーティングだけのはずだから。


「まあ終わってて閉まってるね。…なんだろう。傘?」


部室の前には一本の傘と、その傘に手紙がくっつけてあった。


「渚へ。
なんだか中村君が傘貸してあげるって。それと今日はチョコでおいしかったよ~。
佐織。」