恋色語

「…ないけど?」


こいつというアホはぁ!


「あ、真剣な話。多分旭はさ、片桐から仲良くするなって言われたろ」


聞いた瞬間足が止まってしまった。どうして…それを。どこかで聞いて…いや、あの場は誰もいなかった。


「…やっぱりな。俺からも言わせてもらうけど、なるべく会わない方がいい」


それなのに知ってるということは、なぜ片桐が私を避けるかも分かってるということ。

女子なら誰でも避けていることはない。現に片桐は隣の1年女子生徒と歩いているから。

私だけ…なんだ。


「…教えて。片桐がどうして私を避けるか」

「そういうの、本人から話してもらうもんだろ。俺は話さない」


本当にバカだ。そうだよね、人の心を勝手に把握しちゃマズイ。

コツンと頭を軽く叩く。


「中村の言う通りか。ま、私はもうあいつに近寄らないし話さないつもりだったし。

この先もそれを続けるつもりだから」


屋上の時からそのつもりだったし。別に今更どうという事はない。