恋色語

結局私と佐織、今日から中村も一緒に帰ることになってしまった。

夕日の鮮やかな頃合いに、正門で先輩2人と別れる。


「…一ノ瀬、言いにくいけどあいつバカだろ」

「本人目の前にして開口一番が毒舌かい。…殺る?」

「はい、二人ともいがみ合わない。ほら、こうするとそんな事言えないでしょ」


佐織は私と中村の間に入り両方の手を繋いだ。高校生にもなって手を…。

中村は目を反らしてるし、私も逆に何も言えなくなった。


「佐織。やっぱあんた凄いッす」

「ぅん???」

「分からないならいいよ。それより中村の目をジッと見ててよ」



ジッと見てみると中村は目を反らす。その視線を追って佐織が覗き込む。


ジッ、クイッ。

ジッ、クイッ。
ジッ、クイッ。



「あーなんなんだよ」

「弱点発見。あんた目を見られるの苦手でしょ?それも至近距離で覗き込まれるの」

「アイコンタクトは誰も苦手だろうが。早く行くぞ」