恋色語

「私からいいですか?…あの、どうしてこの部屋からみなさんは出ていったのですか?」

「佐織といったな。一から説明する。昨日の勧誘、俺達は別れて行なってたんだ。

で、お前らにした説明を新入生に片っ端からしたの」


つまり八木さんと高梨さんは2箇所で勧誘してたのか。


「でね、今日みんなが来てしまったのだけど…想像より新入生が多く集まって…

廃部寸前ではない、来てやったのに話が違うと」


まぁそうなるわな。何人かが入って、みんながみんな入部する必要はないから。


「もう分かりました。それで残る人がいなくてみんな帰ったと」


もとより入部次第が分からない心境。私達のように。

そんな人達が、とりあえず来たら人がいっぱい。自分が入らなくても誰かが入るんじゃないか。

だから帰る→じゃあ私も→じゃあ私も…の連鎖で人がいなくなったと。


「だが廃部寸前は事実だ。部員は俺と美樹しかいない。お前達の場合、昨日の説明は現実となった」