その手を離さないで



夜の病院て、こんなに静かなんだ。



優子と貴志は、先生にも促されて、先に帰って行った。



貴志からは、「後でゆっくり話しをしよう」って、言われたけど…。



誰もいない薄暗いロビーの椅子に、ただ呆然と座っていた時だった。



「未来ちゃん」



優しく話しかけてきたのは、蒼ちゃんのお母さんだった。