その手を離さないで



――バシッ…。



「未来、サイテー!」


病院の廊下に、優子の平手打ちの音が響いた。



蒼ちゃんのご両親、そしてあたしの両親も来て、病室に付き添っている。


「ごめんね…、優子」



優子と貴志も聞き付けて、慌てて病院に来てくれたけど…。



二人はあたしを、ずっと睨みつけている。



「ねえ、未来。蒼くんを返してよ!ねえってば!」



泣きじゃくる優子の肩を、貴志は優しく包むと、あたしに言った。



「お前たち、ずっと隠れて会ってたのかよ?」