その手を離さないで



そして、聞いた事もないくらいの凄まじい音と、人の悲鳴が、あたしの耳に入ってくる。



地面に倒れこんだまま、後ろを振り返った。



「蒼ちゃん…?」



何で?



今、目の前にいたはずの蒼ちゃんが居ない。



「蒼ちゃん!?」



立ち上がって、辺りを見ようにも、転倒したオートバイが邪魔だ。



「蒼ちゃ~ん!!」



泣きじゃくるあたしの記憶が、ハッキリしてるのは、ここまで。



夢とも現実とも分からないまま、やっと我に返ったのは、病院に着いた時だった…。