その手を離さないで



「ああ、それキャンセル」


「キャンセル?」



蒼ちゃんてば、何をのんきに、お菓子なんか食べてるのよ。



「そんな事より、突っ立てないで、座れよ」


「座れよって…」



自分の家みたいに言うんだから。



そういうトコ、ちっとも変わってないね。


なんだか、とっても懐かしい。



蒼ちゃんは、自分の隣を叩いて、あたしに“座れ”の仕草をした。