「そんな事ないですよ。それを言うのなら、テストで常にトップの五月ちゃんと、バスケ部のエースの隆志君の方が、何倍も凄いです」
 五月ちゃんは、いつも勉強でクラストップ。私も結構頑張っているんだけど、国語以外で五月ちゃんに勝った試しは一度もない。
 私達が通っているこの高校は進学校だから、勉強が出来るって言うのは、やっぱり必要な能力の一つ。


 隆志君は、勉強では丁度真ん中辺り。可もなく、不可もなくって感じ。
 でも隆志君にはバスケがあるから、別に勉強がそんなに出来なくても問題ないと思う。


「勉強って簡単じゃない。だって授業真面目に聞いていたら、すんなり頭に入ってくるし」
 五月ちゃんは笑顔で、いともあっさりと言ってしまった。私も授業は真面目に聞いているけれど、そんなにすんなり頭には入ってこないんだけど……。


「まあ、そうすんなり頭に入れば世話はないんだよ、五月。俺なんかテスト前二週間ぐらいからテスト勉強するけどさ、全く頭に入らないぜ」
「何を威張ってるのよ、それじゃ一緒の大学に入れなくなっちゃうぞ」
 ぷう、とふてくされた五月ちゃんは、隆志君の鼻を軽く抓んだ。
 あはは、本当に仲がいいんだね、この二人って……。


「あ、みいちゃん、明日から一緒にご飯食べようよ。おかず交換し合ってさ、結構楽しいじゃない」
「は、はい、私なんかでいいのなら構いませんけれど……」
 私は、初めて出来た友達が嬉しくて、舞い上がりそうになりながら、五月ちゃんの言葉に笑顔で頷いた。