「五月……」
 五月ちゃんは隆志君の腕の中で、幸せそうに笑っている。


「五月……」
 隆志君が、愛しい彼女の名前をもう一度呼んだ。
 でも、幸せそうに瞳を閉じている五月ちゃんは、ただ腕の中で力なく笑っていた。





「五月……?」


――! 五月ちゃん?!
――幸せそうな五月ちゃんは、もう息をしていなかった――
 彼女の左手の薬指にはシルバーのリングが光り、右手の中には同じデザインの男性用のリングのが握り締められていた――
 クリスマス・イヴに全ては終わった。


――奇跡は軌跡。だからこそ必然であり、奇跡を奇跡としか考えないのならば、それは神しか成しえない――