二十三日には終業式だったんだけど、今日は補習だから仕方がないんだよね。


「でも凄いなあ……五月ちゃん。今回の期末テストもトップだったじゃないですか……」
 私が苦笑していると、机の向こう側で座っている五月ちゃんは、やつれているけど、とびっきりの笑顔でこう言った。


「私が生きている間に……残せる物ってテストの結果くらいだからね。頑張ったんだけど、やっぱり国語だけはみいちゃんに勝てなかったなあ……」
 そりゃあ、私も全科目負けていたら悲しいですもん。
 ここは教室、もう補習は終わって、クラスのみんなはそれぞれのクリスマスを楽しみに家路やデートに急ぐ。
 みんな羨ましいなあ。私は今年も一人だよ……。







「……ねえ、みいちゃん」
「はい? どうしたんですか?」


「ゴメンネ……」
 視線を五月ちゃんに向けて、私は凍りついた。
 ゆっくりと体が傾いていく。
 私が慌てて手を差し伸べる間もなく、椅子から滑り落ちて、彼女は教室で倒れこんだ。


「五月ちゃん!」
 五月ちゃんの体は、既に限界に達しようとしていたのだ。