海渡はすんなりと、携帯で救急車を呼んだ。しばらくして救急車は来た。 俺らは見たままの光景を伝えた。 あの男が、海渡に突っ掛かり、遮断機を越えて行ってしまったと。 「…お前、死んで欲しいと思ったから、やれたんだろ?」 海渡が、歩きながらそう言った。 「…ああ」 「俺だってそうだ。あいつなんか、助ける価値もないと思ったよ」