「…うおおおおお!!!」 俺の手なんかどうでもいい。 俺の生命なんて、どうでもいい。 ――――大切な人を救えない方が、よっぽどつらいんだよ。 「海渡…海渡!」 半分ほど、カンナの言葉を聞いた。 俺の。心の。優斗に。連れ戻す。 ちょうどその時、瓦礫の中から腕と顔が見えてきた。 優斗。 血の気が失せ、瓦礫の灰にやられた優斗の顔。 「…優斗。起きろよ、なあ……」 俺の、心。 お願いだ。優斗を、連れ戻すために。