『タロ…』


唯一の生きる支えだった、愛犬が死んだ。


父さんと兄を亡くした母さんは、愛犬を嘆くこともなく放り棄てた。


『お母さん…?何で…お母さん!!』


『うるさい!!』


親戚は俺を認めない。母さんは俺を見ようとしない。


親戚は、優秀だった兄を可愛がっていたから。


俺なんか、誰も見ていなかったから。


教師は俺に苛立ちを当たろうと、味方のいない俺を楽しんでいたから。


『うわああぁぁぁぁ…』


誰も、俺を心持つ人間だと思いもしないんだ。