声なんか出る余裕がなくなった。 胸元にまで、銀に輝く漆黒の持ち手のナイフが近づいている。 「俺だって…必死に助けを求めたんだ…」 揺れる。 ああ、お前と俺は同じ人間なんだな、と。 ケイタから流れた雫が、俺の頬に伝った。 体温のない、冷たい水。 でも俺の心に衝撃を与えるには、充分な威力だった。 「でも人は誰も見もしないで…何で俺だけが、こんな苦しく…」 「…ケイタだけじゃ、ねえ」