【海渡‐SIDE】





気が動転したかと思うと、いきなり我に戻った。


目の前は一面真っ白の世界。


濁りのない白の中に、透明に反射した水溜まりがある。


そして何処からか、水の滴る音。


優斗の声も、ミイの姿も見えない。


「此処は、死んだ者が来る場所だ」


ただ、目の前に黒衣の美麗な男――――ケイタが佇んでいるのみ。


「…死んだ…」


「ああ、心配するな。お前は特別な能力を持ってるから、抵抗を受けずに来られたんだ。死んでもないぞ」