目を、つむる。


もう俺は、漆黒なんて怖くなかった。


幸せだった。


例え、存在せぬ人間だったのだとしても。


海渡は良い奴だった。


少しだけ、憎しみに流されてもいたけれど、それでも気高く見える。


あいつは、蓮がいる。


きっと、大丈夫。


けれど、芽惟はどうだろ?


俺を想って泣いてくれるだろうか。


家族を亡くしたあの日のように『ひろと、大丈夫だよ』と。