「…でも、ま」


蓮から話し掛けられるくらいには、好意的らしい。


1つ、この世の未練が消えた気がする。


…全部消えてくれれば有り難いんだけど、必ず叶えられないのがある事に気づいた。


無理に決まってる。


両親と兄貴を取り戻したいなんて。


死んだ人間、否、殺してしまった家族は、生き返らないのだから。



――――ぽっかりと、開いたままの心の穴は


未熟な人間を思わせる。


完璧な人間などいない。


なるほどね。