考えに耽っていると、扉が無音で開いていた。 ミイが見つめている。 「……どうした?」 「…私の記憶について。話しておきたい」 ミイは俺の正面に座った。 息を吸い込み、無機質な瞳で、俺の様子を窺う。 「――――少し。1部だけ、記憶が戻った」 彼女はもう、水玉世界の案内人ではなかった。 ミイでもなかった。 きっとそれは――――昔の、ミイの感情と記憶。 戸惑いが伝わってくる。 記憶とは、そういうものだ。