兄貴は俺の頭を撫でながら、『怖かったな』とつぶやいた。


優しくておおらかだった兄貴は、その後間もなくして、溺れかけた俺を助けて死んだ。



死んだ。皆死んだ。


この頃初めて、母さんが『アンタのせいよ!』と叫んだ。


俺のせいだった。


俺はこの頃きっと、2人の寿命をもらってしまったのかもしれない。