とにかく俺は、瞬時に体をくねらせて束縛から逃れた。 「優斗、大丈夫か…」 「かハッ…ん、大丈夫…だ」 吐き気が残るが、それどころではない。 ミイと男が、対立しているのだ。 〈かわいそうな子〉 ――――バサッ 「優斗――――!!」 男が、黒い翼で俺を包んだ。 俺は硬直して、男と間近で視線を交わす。 男は、ただ無表情だった。 またミイと重なる。