「振り向くな…」


小さく、海渡に言い付けた。


海渡が頷くのを確認し、俺は早足で前進する。


走るのは無理だった。心拍数が半端でない。


〈みつけた〉


――――…!


後方に、思い切り引っ張られた。


それに後頭部ヒットしたかと思うと、無理やり宙に浮かせられた。


恐怖一面。


「くそがっ!!優斗を放せ!!」


海渡も、恐怖に怯えていた。