「俺は、取り返せない命を、…踏み潰してしまった。
 今なら、その重みがよく分かる。
 
 だから俺はやるよ。例え自分が消えてしまうとしても」


何よりそれを教えてくれたのは海渡だった。


海渡に出会えて良かった。


「優斗」



――――カン、カン、カン。



しまった…!電車が通ってくる…!


「ひ、優斗?」


「遮断機は危ない…行こう」


足を踏み出す。


後ろで、酷い恐怖に見舞われるくらいの気配がした。