『優斗(ヒロト)!』


生々しく耳に残った、父さんの『振り向くな』の声。


俺は1度だけ、振り返った。


真っ赤だった。


父さんと毎日通った道は、赤に染まり、もう二度と振り返らなかった。



――――父さん。


助けを求めたけれど、父さんは既に息を引き取っていた。