気がつけば、海渡の姓のある家の前。 インターホンには草が巻き付き、やっと押せるくらいだった 思ったより…冷たいな。 草が生い茂り、冷気が小さな家を占めている。海渡の家だから、温かいと思っていたのだ。 ――――ポーン 家の中から、足音が響いてくる。 海渡かと期待してみたが、出て来たのは暗くて若い女性だった。 「…誰?」 ぶっきらぼう。