だがせめて、食い止めることはしたい。 海渡は良い奴だ。 死人で人殺しの俺を、笑いながら歓迎してくれた。 「おい、優斗!」 抜けた腰を浮かせて、全力で走った。振り向くことなどしない。 海渡が遠くなり、何度も転んだ。 海渡が見えなくなり、声を押し殺して必死に泣いた。 振り切った。 海渡は俺にとって、最初で最後の友人。きっとそうだ。