婚約の話を持ち出したのは、あたしの叔父さん。
丁度家は家計に困っていて、
誰かの力が必要だった。
それを解消するために、
“婚約”が決まったんだ。
相手は承諾したか分からないけど、
もう婚約は決まっているらしいから、結婚するんだって。
どんな相手か、どう言う人かも知らないで結婚なんて、
まるでお見合いとか合コンじゃないか!!
そこに不満は持っていたけど、
家族を養っていくために、あたしは決めたんだ。
婚約なんて、ヘッチャラだし。
どんな怖い人でも婚約してやる!
「幸奈」
「ん?」
樹君に呼ばれて、返事だけ返す。
急いで手を洗い、きちんと樹君の顔を見られるようにした。
「婚約おめでとう。
まぁ、離れたくねぇけど、頑張れよ!
嫌な事あったらいつでも電話してな?」
樹君は優しい笑顔を浮かべ、
あたしの頭をポンと叩いた。
その手がすごく温かいの、気のせいだったかな?
すっごく嬉しかったんだよ。
「電話する!
メールもする!」
そういって、あたしは樹君に笑顔を見せた。
