一通り食事を済ませ、最後のデザートが来るのを待った。
ママを史也さんは会話を弾ませているが、あたしと森下は喋らない一方だった。
たまにママたちに喋りかけられたら答える程度で。
「愛華ちゃんは嵐沢高校だったね。拓也は目黒高校なんだよ」
「あ、はい。そうなんですか・・・」
森下と兄妹になるなんて考えもしなかった。
森下はどちらかと言うとみんなの中心にいる方で、あたしはめっきり地味な方だった。
そんなあたしが変わったのは、あたしにある一大事が起こったから。
「拓也君は?学校、どんな感じなの?」
「あ、まぁ・・・・普通です」
どうしても、あたし達の会話は大人と続かなかった。
ママ達が目くばせしてため息をつく。
ため息をつきたいのはこちらの方だ。
もう帰りたい。