彼が、父親の言葉で黙って立ち上がる。

まだこちらから顔は見えないが、後姿からかなりの不良なんじゃないかと思う。



――――――――彼が、こちらを振り向いた。

きりっとした顔つき。全ての顔のパーツが整っている。

一瞬見ただけで、女の子に爆発的にモテてしまうことがわかる。



ただ、驚いたのはそれだけじゃなかった。



「―――――――――――あ」

あたし、この人を知っている。

見たことある。

いや、喋ったことがある。笑いあったことがある。


――――――――――――森下だ。