「沙耶華さん――――――――――あぁ、愛華ちゃん。かな?」
一目見たその人は、父親と思えない程若かった。
いや、母親も十分若いのだが、そのぐらい若々しいのだ。
”前”の父親より、カッコよかった。
「・・・は、はい。宮沢、愛華です」
「初めまして。森下史也です」
誰かに、似てる。
あたしが会った事のある人。
で、男。
こんな凛々しい人が、あたしの近くにも過去形でいたような気がする。
今は、いない。
「拓也も愛華ちゃんにあいさつしなさい」
そう史也さんが促した相手はあたしの兄となる人であろう。
さっきまで史也さんが座っていた正面に座っているのが、茶色い髪だけでわかる。

