精霊のいる森で。

少女は森の動物だろうと思って、
音のしたほうへ顔を乗り出した。


だが、木々は知っていた。


この音が、この森の住人の物ではないと。


“人間だ。”


少女はその声を聞いて、少し期待をした。


何せ、毎日自分と違う物と話していたのだ。


少女は立ち上がって、
音のする方へ歩み寄る。


やがて、少女に人の姿が見えた。


狩人だった。


弓矢を背負っている。


「…少女だ!!」