精霊のいる森で。

だから、我慢はできた。


仕方ないのだ、と自分に言い聞かせた。


…でも、少年が久しぶりに森に訪れた時は、少女は飛び上がるくらい、嬉しくて。


やっぱり、自分の気持ちは消す事はできないのだと、実感していた。


だから、その時、少年が口にした言葉は、
少女を傷つけた。


「…結婚、することになった。」


信じられなかった。


でも、嘘なはずがないと、分かった。


少年は嘘などつかない。


それが分かっていたから。


余計に悲しかった。


「そう…」