少年には、母の顔いろが悪くなっていくのが分かった。


自分は何かまずいことをしているのか…?


少年は不安になった。


「それは、誰かに言ったの?」


「いいえ、言っていません。」


「…良かった。」


少年の母は、安堵のため息をついた。


少年は、何が悪いのか少しも分からなかった。


「…誰にも言わない方がいいのよ、そのことは。
この村は、他の村との接触を絶っているでしょう?
昔、他の村との諍いがあったからなのよ。
だから、他の村の人とは仲良くならないほうがいいわ。」


他の村の者ではない、と少年は叫びたかった。