そうやって、少女と少年はお互いに想いを伝えることなく、
ただ月日を過ごした。


ただ会って、
村の様子や少女が祖母から聞いた物語を話す、
という飽きる日々のはずなのに。


2人は飽きることなく、
ほとんど毎日会っていた。


だがある日。


少年の元に、結婚話が舞い込んで来た。


「好きな人がいます。」


少年は母に伝えた。


「…それは、誰?」


「今はこの村にいない者です。」


「それは、この村の者ではないということね?」


「そうです。」