精霊のいる森で。

「…そうかもしれないけど。」


少年は不服そうに言った。


少女の本当の想いを知らずに、そう口にした。


その日が暮れる頃、
少年は帰らなくてはいけない、と少女に伝えた。


「…そう。」


「すまない。」


「いいのよ。
…また来てくれる?」


「もちろん。」


少年は、愚かな質問をする少女を不思議がった。


少女は、急いで帰ろうとする少年がまた来てくれるかどうか、不安だった。


でも、それは愚かで。


少女はその愚かな質問でしか、少年に心を開けないでいた。