精霊のいる森で。

「…当たり前、でしょう。」


こんな痕なんて、どうだっていいと。


少女はそう思っていた。


たとえ自分に何が起こっても、
少年の病が治るのなら。


「だって...」


少女の声は震えていた。


その先を、言うのを、躊躇っていた。


それは想いを伝える言葉で、
少女が決して声に出してはいけない言葉。


少年の前では、絶対に、言ってはいけない言葉だったから…


「私にその力がある限り、
それは私の役目だから。」


少女はやっとのところでもっともらしい答えを作って、
少年に言った。