精霊のいる森で。

彼は少女に惹かれていた。


もう一度だけでも、会いたいと望んだ。


だが彼が少女にもう一度会えるのはもう少し後のこと。






少年の祖母が亡くなった。


それは少年が少女に会った年の、冬の話。


少年は泣いた。


面倒だと思っていた祖母のことが、
いつの間にか自分の中で大切な存在へと変わっていた。


少年は何もできなかった自分が嫌になった。


そんな彼を、家族や友人は宥めたが、少年には何の役にも立たなかった。