精霊のいる森で。

少年は貧しい家の長男だった。


祖母は病気で寝込み、
母親は祖母の看病につきっきりだった。


少年は父親と一緒に働いていた。


畑仕事だった。


畑仕事はつらく、学問を学ぶことができなかった。


少年は本を読むことが好きだった。


だが少年は仕事によって自分の趣味を堪能する時間を奪われてしまっていた。


少年は疲れていたのだ。


体も心も、疲れ果てていた。


考え事をしていたからだろうか。


少年は鹿の背中から落ちてしまった。


そして、足首を捻り、腕にかすり傷を作った。