精霊のいる森で。

少年にはどうやら森の声を聞く事はできないらしかった。


それでも良かった。


少女には、少年が少しずつ元気になって行くのが分かったからだ。


「…綺麗でしょう?」


「はい、とても。」


「あなたはいったい、“森の王”に何をしてもらおうと思っていたの?」


「命を奪ってもらおうと、思っていました。」


少女は愕然とした。


“森の王”がいなくなってよかった、と少女は思った。


「どうして、そんなこと…」


少年は嫌な記憶を思い出し、黙り込んだ。