精霊のいる森で。

「どこへ行ってしまったのですか?」


「ここへ戻って来れない所へ行ってしまったわ。
“森の王”に用があったの?」


「はい。」


少年は力が抜けたように、
ふぅ、と息をついて黙ってしまった。


見るからに元気のない少年を見て、
少女は声をかけた。


「よかったら、この森の中を案内してあげるわ。
とてもいいところなの。」


「…はい。」


少女は少年とともに森を回った。


少女は仲良くなった鹿に頼み、
少女と少年を背中に乗せてもらった。


そうして、湖の水を飲んだり、
冷たい風を感じたり、
木々の囁きを聞いたりした。