少女が精霊になっても、
狩人は森には現れなかった。


少女は楽しみにしていたのに。


少女は寂しかった。


だから、少年が森に現れた時、
飛び跳ねるほどに嬉しかったのだ。


森の入口にその少年は立っていた。


何かに恐れるような顔をして、
その場から動こうとしない。


少女は少年に少しずつ近づいて行った。


驚かさないように、そっと。


そして、少年まで後一歩、と言う所で、
少年が少女と目を合わせた。


「…“森の王”ですか?」