可哀想な子。


少女はそう呼ばれていた。


親がおらず、
家もなく、
唯一の身内であった祖母を亡くした。


そんな少女を皆が可哀想な子と呼んだ。


少女はそう呼ばれていると、知らなかった。



少女は自分のことを可哀想だとは思っていなかった。


自分は幸せだと。


自分は全てを失ってはいないと。


そう分かっていた。


全てが彼女の心の中に詰まっていた。