――そして、2日目は、落下の夢だった。


誠一は、高所恐怖症である。

高層ビルの中ほどにある彼のオフィスは、窓が大きく取られている。

しかし、彼の席は彼立っての希望で窓から遠く離れたキャビネットの近くにあり、用もないのに窓のそばには近寄らなかった。

コピーを取りに行く際も、近くの窓際のコピー機ではなく、離れた壁際のコピー機を使うほどだった。


しかし、スモーカーでもある彼は、ランチの時間まで我慢できずに外にある非常階段まで煙草を吸いに出ることがある。


その日もそんな日だった。


そして、肺いっぱいに煙を吸って吐き出す、最も無防備な瞬間に、非常階段のドアが突然開き、


誰かに突き飛ばされた。


胃が縮こまるような浮遊感、加えて圧倒的な力で引き寄せられる落下感。

誠一は、声を上げて飛び起きた。

冷や汗が止まらず、しばらく呆然として、手の震えが止まらなかった。