「母と、家族と、再び食卓を囲むこと」

「夢を代償に、夢を叶えるか」

獏は、今まで以上に深い声でそう問いかけてきた。

腹の底まで響く、深い声。

「ああ。もともと見なかった夢だ、いくらでもくれてやるさ」

――獏は、再びあの咆哮をあげた。

「我は、夢を喰い、夢を与えよう」

その顔は、もはや動物の顔ではなく、般若の顔だった。

「本当の姿を、捉えられたようですね」

男が、小さく呟いた。

「白澤(ハクタク)……麒麟や鳳凰に並ぶ徳の高い聖獣、あれが本当の姿です。貴方の夢が、叶うことを」