「おや、失礼しました」

壮年から、老年にさしかかろうとするくらいの男性が、病室に入ろうとしていた。

「あ、どうぞ」

誠一は、座っていた丸椅子を勧めた。

「君は、美世子さんの……」

「末の息子です」

「そうだったか。はじめまして、高城と申します」

と、男は頭を下げた。

――姉の言っていた、母の婚約者だろう。