兄と、対等に話をするなんてことはできないし、母親は、倒れてしまった。

もう、通常の生活に戻ることはできないかもしれない、深刻な状況だった。

「これは、願望です」

あの男が現れ、夢は主観から俯瞰へと写る。

「睡眠中に見ている夢ではありますが、これはもはや願望に近い夢ですね」

Dreamではなく、Hope――と、男は言った。

「あんたさ、いい加減その不気味なフード、外したらどうだ」

「これは失礼致しました。私たちの姿がはっきり見えているのに、顔も見せないのは失礼ですね」

男は、さっとフードを取り払った。

ひょろりと背は高いが頼りない身体を、白のチャイナ服が包んでいる。

その頭には、髪の毛が一本もなかった。

そして、その肌は病的に白い。皮膚下の毛細血管を透かしてほんのりと赤みを帯びているくらいだ。

思慮深い、不思議な顔立ち。

彫りは深いのにやや重たげな一重まぶたは、明らかに東洋系の顔立ちをしていた。

しかし、その瞳は抜けるように青い。