「……母親が、倒れたんだ」

梓が黙った。

「悪い、寝ようか」

誠一は、枕もとの明かりを落とした。

「いい夢が、訪れるといいね」

梓が、ぽつりと耳元で言った。

「な、夢をみる理由って、実はまだ解明されてないんだ」

「へえ。調べたの?」

「仕事中に、ちょっとな。一応有力なのが、無意味な情報を忘れるためっていうの。それから、必要な情報を忘れないようにするためっていうの2つの説」