「来てくれるとは、思わなかった」

「嘘だ」

「うーん、半々かな」

姉は、ベッドのそばに腰掛けた。

上下する胸だけが、母の生存を伝えていた。

「事業のほうは、大丈夫なのか」

「あの人が、ちゃんとやってるわよ」

「……もう、10年ぶりってことか」

その言葉で、会話は途切れた。

重苦しい沈黙には、様々な思いが溶かされていた。